日本には最低保証賃金という制度があります。厚生労働省の地域別最低賃金の全国一覧によると、平成29年度の全国加重平均額は時間当たり848円です。
主にパートやアルバイトの実質的な時給となっている。人手不足になりつつある2017年では最低保証賃金プラスアルファで無いと人が集まらない状況になっている。
何故最低保証賃金という制度ができたかというと、株式会社は売上げ最大、経費最少で株主に配当を還元することを目的としているためだ。できる限り人件費を下げる必要があり、規制を設けないとどんどん下がってしまう。
多くの投資家は投資の利回りにしか興味は無くそこで働く従業員のことなど気にとめない。海外では時給1ドルを奪い合っている地域が実際に数多くある。
現在、なぜAIに仕事が奪われるという見方があるのかと言えば、企業のパートやアルバイト従業員に対して顕著にみえる、低コストに使うためのマニュアルの改善改良が進み、自分がいないと仕事が回らないと実感が持てない人が増えた事は要因の一つだ。
対応マニュアルがしっかりしているほど、ロボット化や機械化は簡単だ。現にコスト削減の切り札として保険や銀行業の審査業務が機械化されて削減された人件費が夕方のニュースで流れた。
世界的なユーチューバーは、見てくれた回数よりも、全ての作品に10人ずつでも僕の作った作品が面白いんだという人がいてくれる方が嬉しいと言っています。結果的にレビュアーが毎回10万を超えているだけと言う。
大量生産、大量消費は、資本主義の根源でもあり原動力です。10人では話にならない。集めた資本金がつきるまでに結果を出さないといけない世界では、そんな悠長なことは言ってられない。
人間の個性は多様です。そんな多様な個性に最適化したコンテンツは、そのことをやることが大好きな人間にしか続けることが難しい。
奪われるような仕事なら、さっさとくれてやる、俺はもっとこだわった仕事をするんだという考え方もあるかも知れない。
ゴッホにしろ、『鳥獣花木図屏風』の伊藤若冲(江戸時代中期の絵師1716~1800)にしろ、生きている間に認められず、食うに困る生活が続く可能性もある。
死後有名になる芸術家には貧困が苦にならいという人も多いらしい。そういう生き方を強要するのもおかしな話で、多様な生き方の候補が一つ増えたぐらいの気持ちでいるのが良いかも知れない。
仕事が奪われるという危機感がある今こそ、奪われない仕事について考えるチャンスかも知れない。