株価上昇は驚異的な国債増発による通貨価値の低下が原因

2020年最後のニューヨーク株式市場での取引を終え、ダウ平均株価が3万606ドル48セントとなり史上最高値を付けたというニュース報道が流れた。

報道されるニュース解説の多くは、2020年2月に、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、20年2月に急落したが、政府の大規模な金融緩和に支えられ、その後、急速に回復したという説明だった。

本当にそうなのだろうか?僕は、株式市場の価値は変わらず、大規模な財政投入により円の貨幣価値が下がっただけではないかと感じた。

株式市場の値動きが不気味と話す人もいるようだが、各国の政策やその反応を追ってみると、実体を反映した正常な値動きのように見えてくる。

記事の注意点

この記事は調べれば調べるほど、馬鹿馬鹿しいため、考えるのをやめました。最後に行きつく答えは今さえよければそれでいい。という考え方です。

どういった原理で金融市場が動いているかはわかりませんが、ただ一つ、日銀が保有する国債銘柄残高の数字や、国債発行額、そして、東証一部市場の売買代金などの数字はごまかすことはできません。日本国民としてもう少し政府の金遣いについて、目を向けた方が良いのではと言う思いで、記事を書きました。

執筆者の個人的感想は、調べれば調べるほど日本政府は誰かにお小遣いを上げているようにしか見えないのです。

大日本帝国は一度デフォルトをしています。取り次ぎ騒ぎも起こってきました。

今あるお金の価値は恒久的ではないことだけは意識しておくと、何が起こっても驚かずにすむように思います。

ダウ平均の動き

日本と違い米国では新型コロナウイルスによって、実際に死者や休業が続き、労働力や消費者的にダメージが大きく企業業績は下がっている。配当金が期待できないなかで、企業価値を示す株価だけが上がっている。

そして、ダウ平均のグラフを見るとコロナウイルスの谷に橋が架かった状態で上に伸びており、影響前の動きを継続しているようにチャートが推移しているようにも見える。

株式価格が業績を反映している状態ではないことは、間違いない。明らかに政府による財政出動を期待しての値動きとなっている。

政府の財政出動

2020年1月2日時点のニュースで、ついにアメリカ合衆国の9千億ドルの新型コロナウイルス対策法案にトランプ大統領が著名をしたと報道があった。1200万人分の失業給付の再延長の他に、中小企業対策にも3250億ドルを充てるとある。

アメリカではすでに20年の3月には、2兆ドルを超える経済支援策が行われている。次期大統領のバイデン氏は9千億ドルは始まりに過ぎないと話し、これからどんどん市場にお金が流れ込んでいく流れがはっきり見えてきているのが今の状態だ。

どこの国も自国の税収を遙かに超える金額を新型コロナウイルス対策に投入してきた。いったいどこからそのお金が出るのだろうかと疑問がわいてきたのだろうか?

アメリカの紙幣についてはよくわからないが、日本の一万円札は、日銀が政府に対して税収を担保に発行した債券である。それは教科書にも書いてある。そして日本のお札には、国立印刷局製造の「日本銀行券」と印刷されている。嘘だと思うならお財布のお札をよく見てくれ。

日本政府の新規国債が発行されるたびに、紙幣の総数が増えていくのだが、ジュースを薄めるように貨幣価値が下がるのは金本位制だったころの考え方なのだろうか。もはや1万円札に金塊の価値はなく、ただの数字の羅列の意味しかなさないのかもしれない。

日本の新規国債発行額と日銀の国債保有残高

日本の新規国債発行額は、財務省の「令和3年度国債発行予定額」によると、令和2年度当初では新規国債は32兆5562億円であったが、新型コロナウイルスが現れた後の令和2年度3次補正後に112兆5539億円の新規国債が発行された。また令和3年度当初の予定では43兆5970億円が予定されている。

そして国債発行総額は令和2年度3次補正後には263兆655億円になっている。

日本では債券を発行している日銀が自ら発行した債券を保有しているというおかしな状態が続いている。この辺が通貨の価値がわかりにくくなっている原因のような気がする。もはや、政府は財政投入による景気拡大とそれに伴う税収を担保にしていない。

これまで多くの国債は郵便局を始め銀行が銀行法の取り決めで強制的に買わされてきた。しかしUFJ銀行が購入をしないと発表した。すでに、国債を売りつける相手がいない中で、しかたなく日銀が買っている状況でもある。

一体どれぐらい日銀が保有しているのか知りたくなり、「日本銀行:日本銀行が保有する国債の銘柄別残高」に公開されている統計データを元に総数を集計し年度ごとの変化をグラフにしてみた。

日本銀行が保有する国債の残高総数の推移
日本銀行が保有する国債の残高総数の推移

日本政府の財政は税収ではまかないきれず毎年40兆円ほど借金が増えている。2009年頃国の借金は1000兆円を超えたようなことが話題になった。2020年12月22日時点で日銀は政府に課したお金の内488兆円もの借用書を保有していることになる。ホントに不思議だ。

上のグラフだが、あまりにメモリの単位が20兆円と膨大なため新型コロナウイルスと日銀の銘柄別残高に関連性がないようにも見えてしまう。

貨幣価値が下がったから、株価が上がったように見えるだけ

日本人と比べて全体的に金融市場で商品を購入する欧米人人は金融の知識が高い割合が高いといわれている。個人投資家であっても、金融商品も為替から債券株式まで幅広い銘柄を扱い資産形成をしている。

だからこそ通貨が世界を超えて流動しているのだが、今回は貨幣価値とは関係のない株式を購入しようとする動きが強まっているように見える。

大量に紙幣が増刷され貨幣価値が下ることをみこし、実態に密着している株式市場に資産を待避させようと考えた人も多いのではないかと思う。

資産が多いビッグプレイヤーを追いかける形で、大きなうねりが動いているようにも見える。大体の人は企業価値による株価ではなく、「みんなが買っているから自分も買う」だから値段が上がっていっている。

資金の出所が国家の借入金による支援金であれば、株式市場が急速に回復したと捉えるより、貨幣価値が急速に下がったと見たほうが自然なような気がした。支援金の多くが生活に使われることはなく、金融市場に流れていくからだ。

日本の日経市場の値動きも大規模な政府の財政支援というより、ホントにジュースを薄めて配っただけという例えが一番ぴったりくる。

日本の株式市場は官制相場だった

日本の株式市場は官制相場様相が強いと数字を追うことができる市場関係者は口をそろえる、政府による自作自演の株価操作をしているようにも見えていたが、ここにきて日銀の買い入れがしばらく発動していないので、群衆行動によって東証一部が動いているようだ。値動きに対して売買代金が少なすぎる。

バブルとは様相が違うが、株価に貨幣価値を合わせる動きというのが起こるのか、どこで帳尻を合わせてくるのか、興味がありつつ怖いような気がする。

株を新規で始める人の多くが意識していないが、株価は自分より高く買ってくれる人がいないと上がらない。そして、買い手がいなければ下がるのだ。今の株価を維持するには、今の株価以上で買ってくれる人がどうしても必要になる。

今までは、政府がいろいろな法案を通して、あらゆるお金を使って日経平均を買い支えてきた。ゆうちょから始まり、年金機構などのお金がだいぶ東証市場に流れている。

この日経平均の動きを見て、実体経済から乖離しているため不気味だと心配する声が聞こえてくるが、だぶつくほど市場にお金が流れ込み、貨幣価値が下がったから、株価の上昇したように見えたと、とらえると、不思議なぐらいスッキリと僕は納得できた。

だぶついたお金が株式市場に

内容が重複するが、サラリーマン個人投機家に流れた補助金の多くが、株式市場に流れていると聞く。売買代金が低い中で株価が大きく動いていると言うことは、個人投資家がたくさん集まっている徴候でもある。

そして通貨のだぶつきが日経平均に表れているとみることもでき、その側面からも、通貨価値の低下ととらえることもできる。

物の貨幣価値は欲しいと思う人が多いほど上がるが、貨幣価値は物を買おうとする人の金銭感覚が緩いほど下がるという見方もできるからだ。

まとめ

政府の経済政策の成果が株式市場に現れていると考えられてしまうと、ますます、変な方向に進むような気がする。ビジネスとか経済優先などと言う言葉が聞こえてくるが、生活の幸福は数字ゲームでは計ることができない。

日本政府による驚異的な国債増発によって日本の借入金は20%以上増えている。東日本大震災が起こる前まで日本の借金が1000兆円と言われていた。

確かなことは100年前の1円と、現在の1円では価値が違う。通貨がいつも同じ価値を持つととらわれていると、全体が見えなくなるのではないだろうか。

日経平均が上昇したのではなく、円の価値が下がったというふうに視点を変えてみると、現在の金融市場は実態を反映した素直な数字であるように見えてくる。

実に複雑で色々な影響の結果であるが、今回は、政府の財政支援が、ジュースを薄めるがごとくの貨幣価値の低下を招いているという側面から書いてみた。

特にこの記事に書いてあることは、特別でも飛んだ話でもなく、ありふれた話だったようだ。学識も世界情勢も理解しているある人は、「大きな声では言えないが、米国がドルを刷り続けている内は世界は経済成長を続ける」と話した。

おまけ

人類全体の紙幣など貨幣価値は増えることはないが、人類には無尽蔵のエネルギーである石油が毎秒産出されている。

人類の貨幣価値のグラフと、石油埋蔵量や地球温暖化の原因となっている二酸化炭素濃度などの関係も、地球規模で見たら面白いことになるかもしれないと感じた。

産業革命からの資本主義経済を見ると、お金の原資はエネルギーという見方もできる。

ところで、お金の価値とは何なのだろうか。