2018年7月3日から9月2日まで東京国立博物館で、特別展「縄文 1万年の美の鼓動」が開催される。国宝に指定された全ての土偶5器や土器1器をはじめ、全国の博物館や研究室で所蔵された合計207点が展示される。

日本の縄文土器文化研究の第一人者と言えば、江坂輝彌教授(1919-2015)で最後の著作が『日本の土偶』だ。没後の2018年に講談社より復刻改訂版が出た。

考古学者の江坂教授の研究成果がまとめられた著書で、学術書に近いが多数の土偶が出土した場所状態、異なる角度からの写真、寸法、考察などが書かれてある。

土偶は多数発見されているが国宝に指定された土偶は6点しかない。ほとんどの出土した土偶は埋納前に破砕されている事実や、展示されることがないさまざまな土偶のユニークさに驚く。

土偶に関する多くの特集記事や番組でプロモーションが予想される。この本は研究者の研究人生をかけた著作でありこの一冊で知識面はカバーできる。

一般向けの著作だが研究レポートに近いため、書き手の感情などがそぎ落とされているため読んでいて心地よい。

立体物は手に取って初めて気づくことが多い。美術館ではガラス越しなってしまうが書籍にて考古学者の実証的な知識つけてから鑑賞するとまた違った見え方がしてくると思う。

全国の公共図書館に六興出版から1990年に出た『日本の土偶』が所蔵されていると思います。ぜひ人気が出る前に予約して借りてみてはいかがでしょうか。講談社から出た復刻改訂版との違いは、誤植や地名の変更と原本の刊行後に国宝指定された土偶(仮面の土偶)を含めた一覧の追加です。手元に置くなら新版の文庫版1050円(税抜き)がお勧めです。

書籍情報

図書館で借りる場合又は古本は1990年の六興出版が見つけやすいです。購入する場合は2018年発行の講談社が後悔しないと思います。

書名
日本の土偶
著者
江坂 輝弥
出版者
講談社
出版年月
2018.1
ISBN
978-4-06-292463-4
書名
日本の土偶
著者
江坂 輝弥
出版者
六興出版
出版年月
1990.3
ISBN
4-8453-3037-7

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日本の土偶
1990年に六興出版から発刊された『日本の土偶』を原本に、誤植や地名の変更、原書刊行後に国宝指定された「仮面の女神」を含めた国宝土偶一覧が付いています。文庫本サイズで持ち運びに便利です。